校章のロゴ 学 校 通 信 平成30年10月26日
東京都立葛飾盲学校長
山岸 直人
(第8号)

より早期からの教育支援の必要性

主任教諭(支援部主任)  丹羽 弘子

前任の小学校弱視学級の保護者会でのこと。盲学校の幼稚部のことが話題になりました。

「盲学校の幼稚部には、全く見えないお子さんもいますが、見えにくい弱視のお子さんもいて、幼稚園でやるような活動をいろいろしますね。調理活動では、お子さんの実態によりますが、安全に十分留意した上で、全盲のお子さんに包丁を持たせることもありますよ。」との、私の何気ない一言に対して、保護者の方々は「ええっ!!!」と、異口同音に驚嘆の声。「そんな怖いこと、弱視の我が子にもさせないのに、全盲の幼児に?」と、言わんばかりの空気が漂いました。

0歳から就学までの大切な乳幼児期。そこに教育的支援が介入していく重要性は、どこの現場においても指摘をされ、議論も盛んです。視覚に障害のあるお子さんについても例外ではありません。全国の視覚特別支援学校では、高等部単独校を除き、地域に生活する0歳から就学前までの乳幼児を対象とした教育相談を行っております。本校も幼稚部において蓄積した教育実践の成果を踏まえ、乳幼児教育相談を実施しています。

私事で恐縮ですが、前々任の盲学校、そして本校と、私は足掛け20年以上、盲学校の幼稚部の実践に直接的、間接的に関わってきました。直接とは担任として、間接とは長期派遣や他学部所属などの立場で。そして今、盲学校の幼児教育はどうあるべきか、一言で表すとすれば

「晴眼の子供がその年齢に普通にする経験を、見えない、見えにくいことに配慮して経験させること」ではないかと考えています。前述の調理活動についてもしかりです。

乳幼児にとっての経験とは、生活と遊びです。基本的な生活習慣を身に付けさせることは障害の有無に関わらず、当然、取り組まなければいけない課題です。もう一つの遊びについて、例えば、

「公園に連れて行っても、うちの子は見えないので、何で遊べば良いか分かりません」

というお母さんがいます。すべり台も、ブランコも、ジャングルジムも固定された遊具であり、逃げません。位置と仕組みをしっかり伝えてあげれば、安全に遊べます。ただし、「伝える」という時間が必要です。体で把握するまでに時間もかかります。そのためには、「待つ」ということが非常に大切になってきます。

今後も、本校の乳幼児教育相談では、見えない、見えにくいお子さんを育てる保護者の方々が元気になって、親子で楽しみながら大切な乳幼児期を過ごせるような支援に、努めていきたいと考えております。