校章のロゴ 学 校 通 信 平成31年3月1日
東京都立葛飾盲学校長
山岸 直人
(第13号)

旅立ちの春を迎えて

副校長  大野 哲也

時の経つのは早いもので、22日の卒業式、25日の修了式まで残り3週間あまりとなりました。例年より暖かくなるのが早いペースで、桜の開花も例年より早いかも知れません。本校の体育館も卒業式練習に向けた準備を始めるところです。

さて、「卒業」の季節には、以前勤務していた盲学校高等部で進路指導担当をしていた頃のたくさんの卒業生の姿を思い起こします。本校は幼・小・中学部の盲学校ですが、本校から高等部に進んだ卒業生が高等部を卒業するまでの進路指導にも数多く立ち会いました。そこで、高等部卒業後の「進路」について少し御紹介したいと思います。

盲学校のように視覚障害のある生徒が学ぶ学校は、多くの場合高等部普通科が最後の機会となります。専攻科であん摩マッサージ指圧師やはり師、きゅう師の資格取得を目指す場合もありますが、専攻科生徒は18歳から50歳代、60歳代まで年齢層の幅が広く、普通科までの盲学校とはずいぶんと異なる雰囲気になっています。

以上のことから、高等部普通科の進路は、それまでの盲学校の世界から、大学等への進学、社会人経験のある生徒も多い異年齢集団の専攻科への進学、一般の企業等への就職、様々な障害のある方が通う福祉的な就労など、より大きな、外の世界へと旅立っていくということになります。

福祉作業所で、自分の得意な作業を頑張りつつも「見えづらい」ことで必要な援助依頼を確実に言えるようになった卒業生、アパレル店舗のお直しコーナーでお客様から笑顔での対応を誉められた卒業生、中途の視覚障害で点字の習得に苦労しつつも職業訓練で情報機器処理能力とビジネスマナーを身に付けて企業就労した卒業生、大学で支援してくれる友人を数多く見つけて学生生活を満喫したのちに就労した卒業生など、思い起こすとキリがありません。しかし、多くの先輩方ははじめから進路先で順調に過ごしていたわけではありません。自分の思いや不安を周囲に伝えることができずに悩んだり、自らの障害の状況について理解されずに苦労したり・・・。

そこで大切になるのが「コミュニケーションの力」です。それぞれの進路先で求められるスキルは様々ですが、人と人が円滑に付き合っていくためのスキルがコミュニケーション力です。それは、言葉により適切に伝えることもありますが、言葉はなくとも、返事や可能な手段での意思表示は立派なコミュニケーション力です。

そして、自分から周りの人の中に入っていくための大切な方法の一つが「挨拶」なのです。毎朝、玄関での挨拶、職員室に出欠を記入しに来るときの挨拶、友達同士の挨拶、どれもが、人と人とを結びつけるための重要なスキルです。

今日も職員室に元気に挨拶して入室する児童・生徒に会いつつ、嬉しさを感じつつ、日々の挨拶の積み重ねが、将来の進路に向けた大切な練習であると考えています。